十一月

   変らぬ童顔に甦る歌くすぐるよ


   雪空を圧す歌と聞き人のうえ


   政治の歌 庶民を見据え たゞならず


   松はすぐれた齢をよこたえ君が代の歌


   別れの歌流れて遠い月の顔


   闇を愛す この孤独の歌の 低く低く


   胸にある 歌をひろげて 少し酔う


   生きる歌やゝに白髪を交えゆく


   眠りゆく安堵に今日の歌あわれ


   傷つける ものの歌 冬こちを向く