九月

   中年のめでたき酔いを放たれゆく


   ヘツトライトの真夜の目 罰をさがし


   罪の意識に夜の顔動き出す


   闇に語らせようと靴先あくまで尖り


   黒い幕ひたすらに垂れ昔の歌


   狂人の微笑湖心に誰も知らず


   この深さにおちゆく愉楽生きの不思議


   灰色を冒すニヒルのつま立て爪立て


   女郎花傷つきし旅にこそゆれ


   中年のたかぶり鎮めゆくや枕