八月

   たとえばなしにおちつきの色を匂わし


   八月十五日いのちはくろきを厭うなり


   むかしむかし詩集の背革いためつけ


   むき出しの腕抵抗をぶらさげて


   所を得時を得墓うたわせる


   肌願わざる夜の安堵こそさびし


   花に水やるやすらいを近付かせ


   涙ぐむかしこさ淡い灯を宥し


   平和とりまくいざこざを遠く眺め


   毒舌のうま味に堪えて昼寝せむ