五月

   衆を恃みゆくかたくなまでの世ぞ


   論果てず石は所を得て濡れる


   派閥くすぶり政治の手何かを忘れ


   組織いづれせんか喰ふ顔とんがるよ


   スローガンゆがめる生きのひとりぼち


   山は高き 人の願ひを迎え入れ


   灯のなかの苺つぶらにのぞく聞く


   摑まんとしたこのふるき浪曲に眠る


   涙する酒を流せしほどの悔い


   子が見てゐてかばかりの酒で事足り