一月

(11頁に収録)
   争ひの眸かち合い冬木をさらし


   荒涼と遠き味方を胸にせよ


   友去り友来る雪一面にひろげ


   静夜子に及ぶこのたしかな夫婦


   暮しの話よ山は山を重ね


   墓語らずしみる西陽の冬を戻り


   からくりの政治のふたの重き音


   飽食のあとの無言がまたゆする