十二月

   雪消ゆるせつなさ想い並ぶなり


   遠くおもふふるさとならで月新らし


   うたゝ寝やかゝる小さき廻り道


   人の子は片付くほどと思ひやり


   食ひ足らぬ言葉で終り睦まじうや


   人間のみにくきがゆゑ雪を歩き


   子のための金とは胸にうちひゞき


   冬の死の山のむなしさ仰ぎゆく


   中老の祈り静かな寝息たれ