五月

     ひとつの舞台

   線たるませ言葉の裏置いて来た


   線ピンと張り合ひ生きる眸を読ませ


   線が喋り線がこだはる暗い月


   赤い線と青い線そのうたげを許し


   気弱い線がおちて昔噺を聞かず


   交はらぬ線のどこかで揚がる雲雀


   垂れてくるあつちの線の匂ひをこめ


   水を欲す互ひの線の響き響く


   線がからみあふときの夕陽を見よ


   終ひの栖あれやおのがじし線を寝かし