四月

   子を遠く置く齢なれやゆくりなし


   たゝなはる山いくつかは生きを明かし


   ほど〲に息を合せて眠たがる


   生れ来る言葉自分をふと支へ


   敵を愛する遠くで帽子脱ぎながら


   闘ひはそこで終らず持ちこたへ


   嘘からみ合つて苺がつぶれずに


   静かな時を持つ願ひ近かれや


   長い旅路胸にたゝめるこのひそけさ


   弱さふりかざし勝ちたき眸を拾ふ