一月

   なりはひの底をもたげてのぞく子よ


   むかしむかし気弱き群もありけらし


   たまゆらの胸のあかりを欲しがつて


   かの便り夢もわづらふ齢とある


   ひとつの運命ふたつは追はず燃えるなり


   苦労して生きる掟の匂ひする


   かちどきは嗜虐をからみ行きに行く


   光背へ貧しきこゝろふと置いて


   向き向きにたゆたふ色を瞼にし


   炎えきつて敗者の詩あり起つべしと