十二月

   低い姿勢だと銭は影落さない


   ぬるま湯に労資の首がものを言ふ


   妥協近き疲れ煙草の輪に手が行く


   才女らの酔余の足のしびれけむ


   低音歌手物乞ふほどの手がひろがる


   貧困の合言葉またはねてきて


   ハイテイーン親の秘事見し日より勝ち


   ベレー帽人生の謎連れ込まず


   かへりみるべき閑が出てねむたがり


   若き死のおごりに堪へず早寝する


   よき夫婦風のゆくへもをさまるや


   遠い日を置く雪空にあたヽまり