十月

▽誌友の方は勿論、本誌を声援してくれる人たちは、本誌が遅刊してゐることの理由をよく諒解していたゞき、それに甘へるやうな立場に置かれ、たゞ〲恐縮の至りと恥ぢ入るばかりである。何とか早く遅刊を取り戻したいとあせつても、思ふやうにならず、ずる〱と今日まで来てしまつた。全く申訳ない。気長に待つていたゞける人たちのための本誌になりさうで、それだけに他誌を見られない主義と抱負を盛つた内容にしようと努めてゐる。
▽さうした気負つた態度をにがにがしく感じる人もあるだらうし、こせ〲言はず、早く出し給へとやられると、首を垂れてギヤフンである。黙りこくつて平身低頭の自分のあはれさが一層しみて来るのである。
▽こんなずぼらな本誌だけれど地元の句会は毎月開いてゐる。第三土曜日午後七時から、同人三枝昌人君の家で、愉しく句三昧にふけることにする。幹事は毎月交替ですべての世話掛かり。接待、運営、研究互選のときの司会などまかせつきりである。二十代、三十代、四十代、五十代、六十代といふやうに世代のちがつた人たちが、自分の持つ信念と詩情を人生の味にとけこませて詠ふ。此頃やうやく若い女性が二人出席することになり句会場もちよつと若やいだ感じである。中年の人たちが親切で自分の娘をいたはるやうに大事がつてゐる。
▽美しい山々を四囲にめぐらすこゝ松本、その山にも似て美しいわが句会にぜひ寄られたい。