十月

   ふるさとの水わが智恵の底に沁み


   墓はいくつも並び夢はひとつづつ


   憐れみを乞ひ得てうしろからの月


   わらべ唄涸れゆく想ひ支へたり


   また夢を重ねかの夢消しがてに


   ほろ酔ひの安けさに来るわがまこと


   月に雫あれ告白がとぎれゆく


   道はひとすぢ生きの身のたかぶりや


   覚悟して脱ぐ悲しみが流れくる


   堕ろすまで順序があつて眉を濃く