九月

   労資を置く溝になまぬるく吹き上げ


   餌をほしがる腕の太さほそきが乱れ


   働く理窟に営む理窟に陽が落ちる


   生活権だ経営権だ尻に敷いて


   乾いた労資の笑ひにこめるたそがれ


   中小企業の首が並ぶとき労働歌


   うすい儲けしぼりとる滓走りゆく


   のろしを上げん気弱さは敗るゝ意味と


   人間の肌わづかに労資息をつぐ


   労資相互にこのしゞまをおく相許せ


   胸を流れる小さけど夢を見たがつて


   闘争はなほつゞかん手くだそこばく