七月

   身こそあれ静かな月をひとつ置く


   いそがば廻れ気弱さが笛を吹き


   よよと泣くふるき芸術流れたり


   誰もあるいのちしのばゆ寝にまぎれ


   老へざる葦を並ばせ風も過ぐ


   山々の黙せるなかの声が来て


   俗臭をけなし得ず酔ふたしかさや


   星屑のきらめきに似ず人よごれ


   夜は妖し生理のしづく音もせで


   目をつぶるおこなひすますもてあそび