四月

   能面の白さへ負けたがらぬ炎


   嘆かひのむかふの水音に呼ばれ


   誰か見てゐる安らぎの胸に聞かし


   ひまはりの凱歌雑草向き〱に


   過ぎし日を壁に塗りたくり克てなくて


   夢かさね覚えずいぢらしき疲れ


   酔へばわが生きのつたなさこそあふれ


   さらしゆく酔ひぞ子はみな大きかれ


   山彦のたしかさにある自分のほころび


   休らひの墓ありそこまでは遠きや