1956-11-25 十一月 月々の句 遠く降るは雪か敗れし眸を読ませ イヤリングはづす空虚を嘗めて来た 雲はひとつにならうとする誰も拒まず 手袋の穴去つてゆく愛の雫よ 冬木並ばせ暴言を救へない 世に負けゆく肌か松すつくと立ち その後 父の余命ふゆの流れにただよはせ 父はこの世の夢として粥の味 父の息付きのなかに自分をさらし 父が歩んできた道ひとり谺す