1956-10-25 十月 月々の句 この胸の底のあはれを知る酒よ おしやべりの酔ひのちからはお人好し 盃にこもれる深さただならず 友ありがたや座を立たず酔ひ給ふ さかしらに言葉の花火散る酒で 親一人ありそのゆゑの酒のしみ たましひの抜けゆく安堵あつて酒 わが齢にふれ合ふ酔ひのめでたかり 子を並べ妻一人あり酒を倒す 酔眼に灯がまばたけば人生か