七月

      近什

   沖縄の声の孤独を波が洗ひ


   夏の灯も親しクイズに坐らされ


   うしの日の風もこよなきもののうち


   大臣の宿題次ぎの逃げ言葉


   すだれ越し小言幸兵衛すき通り


   怪談へ恋のやつれの顔を寄せ


   ニツポンの縮図いゝこと遠慮して


   遠巻きのまゝ暴力が移動する


   つまみ喰ひ汚吏の瞳はせぬ台所


   うすものの自分驚くこと知らず


   愼太郎打算のパンを磨かばや


   原子雲流れる雲をひた押しに