1956-06-25 六月 月々の句 近什 蝶はおし黙らねばならぬ夕やけ雲 羽ばたきの音ある蝶の恋のしづく 蝶の羽の粉の憂ひの散りゆく日 毒舌をふさぎに蝶は大きい羽 蝶はわが影のいとしさから狂ひ 下手くその舞踊の蝶も克たんとし 蝶の夢彩を重ねて沈みゆく 羽たゝむ羞恥の蝶の病みはじめ 蝶が喋つてる陽の匂ひ陽を喰つて 雲と花のたくらみ蝶の小さき死 蝶に生れかはつてはつゞけるいのち やすらひの自分の墓へ蝶を置く