1956-05-25 五月 月々の句 近什 ベレー帽智恵の孤独の暗き部屋 白壁の梅雨のしめりに置く別れ うすい鞄税吏は出世へと急ぐ ネクタイが首を巻く風そんな恋 のがれゆく紙幣の羽くろずむばかり 下手な横好きへな〱と坐らされ 習性に甘へる花もこちを向く 健やかである退屈さ雨が漏り こそばゆき不倫の足の裏を拭く 去るものは追はず小高き山が見え