四月

      近什

   毛並とも書かれ人物論で足り


   越ゆべきを越えてをとこに棲んでやる


   いぎたなく坐り指環に想ひなし


   閨怨のまさぐる指を仕舞ふなり


   滅びゆくものゝ祈りにおちこんで


   死はやすからず青空と子の顔へ


   誰も其処には居ない生きてくる言葉


   夜のためのからだにもなる思ひやり


   ほころびに似てこの酔ひをたのしむか


   うらぶれのおもひは月へひつかゝり