二月

      近什

   冬将軍山肌にふれ遠きを見る


   年寄りの涙よごれて泣くにあらず


   週刊誌蒼白き夢そして寝る


   女の手ながらふ水に灯がはひり


   ゴムバンド手首に忘れ春よ来い


   のしかゝる習ひづつしり米俵


   時を知る膝で疲れもたのしまれ


   拾ひゆく齢のかそけき雪が降り


   振返る道とし思ひ夜の酒か


   一枚のいのちに足りてさからはず