五月

▽長野県では毎年一回川柳大会を開催する。時期は五月中旬の日曜日を選んで居る。そして会場は毎年交替である。長野、松本、小諸、上田、須坂を中心とするグループが順繰りに主催側となる。今年はその第九回、松本で受持つた。来年は小諸。
▽出席者からは打合せたやうに毎年同じ額の会費をいたゞくが到底会費だけでは賄ふことが出来ない。そこで主催側は大会準備のことで一苦労する。同好者の多いグループ地区では受入態勢に何といつても余裕があるやうである。少い地区では構成する人数によつて割当てられる種々の思惑や、のしかゝる精神的な負担が重くなり、そこに平衡性を欠く憾みがある。だから少い地区は多い地区より受持つ回数を減らしてほしいといふ説もあつたが、結局少い地区は独自の立場で運営して貰へばよいし親睦の意味からいつて折角順繰りに開催して来たから今更変更しない方が好感が持たれるといふ意見が多かつた。
▽一番問題になるのは採点するかどうかといふことだ。あくまで点取り主義的な雰囲気を盛り上げようといふ考へ、もうひとつは水臭いからいつそ採点表を掲げることをせず、融和のうちに授賞のたのしみを盛り上げようといふ考へである。また作品をじつくり研究討議してゆく考へもあつた。今度の新しい企画では出席者に洩れなく大会記念入選賞を差上げて誰もがぢかに大会に参加した歓びを味はつて貰つたことだ。なまじつきあ参加賞などゝ銘打たなかつた。