1955-05-25 五月 月々の句 近什 ながらへば恥あるそのことにもたれ としよりのラヂオにまぎれ寝る安堵 ひとりのがれ殻にしみつく夕焼だ 足をぐんと伸ばそ苦労が消えるとよ 死のこはさ撫ぜてすれずれねむりゆく みんな骨になるのさそれは蔭の声 こゝに生きる朝の寝覺めの真新しさ きれぎれの夢つなぐ暇ありとして 造花まで汚れものうき齢をのぞかせ 見事な敗北花火が大きくそれ大きく カラー固し猪口才の智恵吐かせ置く 幸福論枕のさやを洗つたね