四月

     近什

   人情馬鹿草臥れ損は石の上


   石の上ぢぢばば分けて握り飯


   ものの怪に振り向きを耐へ石の上


   石の上貰ふたばこの粉が散る


   死こそよけれ赤い月ほし石の上


   たましひのぬけがら拾ふ石の上


   石の上淡き別れの思ひとや


   道ならぬおそれをよしと石の上


   石の上敗れし旗は露をふくみ


   澁柿を叩きつけ合ひ石の上