1955-03-25 三月 月々の句 近什 老い父の醉へば仆れて記憶の唄 八十の確執或る日ひとりぼち 孫は數へず柿栗の樹を夢に 死にやすむ母の墓あり此処の風 母は死に救はれ時を守るなり 弟の忌に馴れいのちうちふるへ 生きてゐたらと弟を皆と並べ 四十四のわびしき声が自分に来る たよるべき妻とし流れ行く雲よ 子は三人たゞしき怒り失はじ