一月句会・宿題「石曾根民郎」岩井汗青選

   民郎の或る日の姿仙人に見え   栄治


   世のあらを刺し民郎は印刷機   五仙


   エロ談義民郎生真面目に放ち   雅登


   飄々と世俗へ伍して俗でなく   幸吉


   奇書珍画民郎眼鏡をずりあげる   良三


   民郎が句に酔ふ春の日向ぼこ   栄一


   川柳のよさ民郎の名で展け   静園


   民郎の頭毛ほどのすきもなし   いはを


   せつかちなところ民郎只の人   とほる


   民郎の丸い人柄句に盛られ   伊佐緒


   青い月ほめて民郎句は苦手   創造


   民郎のそゝくさとして詩に生きる   正司


   若禿げと言はれ苦にせぬお人柄   楓山


   民郎の小咄おちて灯があかい   貞夫


   句を育て家業に励む日をつゞけ   雀童


   あることにかけて民郎地獄耳   白夢


   鼻つまんだ鼻から小咄よくころげ   盛人


   視野広き眼鏡きらりと世相截つ   三春


   民郎の苦吟あぐらを坐り替へ   実茶


   童謡を唄ひ民郎まだ酔はず   〃


   しなの調創る民郎のリリシズム   典夫


   痩身に築くしなのの金字塔(客)   〃


   山肌に抱かれ民郎詩と生き   正司


   民郎のよさは真面目な猟奇癖   想夢庵


   そのセンス民郎調は獨歩する   義郎


   民郎の趣味も行過ぎぬを願ひ   今郎


   母を詠む句へ民郎の瞳が光り(人)   水鏡


   わらひが生きて歩き

          民郎のちびた下駄と(地)   盛人


   言切れる強み民郎瞳がきらり(天)   貞夫


   民郎はさびしい眉で慾情す   自句


   音痴いつはらず民郎の子を愛し   〃