二月

     近什

   けだものにざんぶり来いと水がいつぱい


   仕事あるけだもの明日が来るほどに


   けだもののわが体臭にこそ睡る


   弱き瞳もてけだものは或る日を残し


   けだもののひたすら渇す坂を降り


   まろびねを蹴られけだもの行くとする


   けだものの親子のこのこ怖がらせ


   愛すべきけだもの赤い舌が出た


   老いて遠吠けだもののひとつの安堵


   死ににぬけゆくけだものよ河を遡り