八月

▽広告川柳というのがある。商品名の課題につけたPR川柳だが、けなすような題材でなくて、あくまで礼讃したものである。社会諷刺、人事諷詠の域をあるところで広げた視野だから、大いに活用して、銭になる川柳への活路を見出すべきであると主張する人もあつて、執拗にまで喰い込もうとしているようである。
▽大会などでも商業川柳と銘打つて、土地の要請からその商品名を題にした川柳を募り、優秀作品にはまたその商品を賞に出すという凝つた趣向で、商魂のたくましいところを見せている。
▽乙にすましこんでいるばかりでなく、こうした方面にも働きかけて川柳の広場を求めてゆこうとすることも意義がないでもない。ところが潔癖家とでもいおうか、或いは行き過ぎだとソツポを向いて商業川業を忌み嫌う人もある。何もおもねる必要がないというのだ。
▽題が出るとすぐに作句出来る融通性を買われて、商品名という題をこなしきれる川柳作家の手つ取り早いわざである。短歌や俳句だつて出来そうなものを、お上品ぶつているのかも知れない。新聞などで商業的に扱われたものを見ると、短歌や俳句では殆どといつてよいほど、その広告主に追随した作品でなしに、発表された時期の季題めく音律が掲げられているのである。いわばアクセサリーで、それで結構広告の目的を役立てているように見えるのである。ついて放れず、広告主に添つた画讃だと思えばよい。
▽そこへ行くと川柳はその性格を発揮してズバリである。それを好む人もある代りに、いやがる人も出てくる。商品名を詠み込まずに雰囲気の出るようなねらいもあることも見のがされているのかも知れない。
▽先日、日本テレビから貴句を採用したから著作料を差上げるといつて来た。「季節の健康」という番組で放送したという。どのような形式で自分の句が流されていつたのか、見ないのでわからぬが、せい〲採り上げられてゆくことがのぞましいことを言つておいたが、民間放送に限らず採用すればNHKあたりでも著作料を呉れるだろうからPRしたいものだ。